中古物件を、「き」なり流リフォーム
二階部分をいったんリセットして広々リノベーション
Mさんの新居は、郊外の住宅団地の一角。玄関扉を開けたとたん、すがすがしい木の香りに包まれる。
マイホーム新築を目指していたMさんご夫妻は、きなりの家のコンセプトハウスにすっかり魅了された。「床も柱もとても肌触りが良くて、初めて感じる上質な質感でした」と奥様。ご主人は「窓の造りのダイナミックさと開放感は、ほかで見たことがないものでした」と圧倒された。
早速、新築を目指して本格的な相談を始めたが、「土地の購入も考えると、自分たちの予算では手が届かない」と気づき、大変落胆したそうだ。そんな折、奥様の実家の近くで、手頃な中古物件を見つけ、「中古をリフォームするという選択が、自分たちの身の丈に合っている」と考えるように。
悔しい思いを抱えつつ、きなりの家に断りの電話を入れた。ところが、それに対する回答は「もしよければリフォームもやっています」ということだった。
「きなりの家がリフォームに対応してくれるなんて思いも寄らなかったので、本当にびっくり。そして、これで望みがつながったと、晴れ晴れとした気持になりました」。
2階に、開放感あふれる大空間リビング
窓には内窓を追加して、大きな開口も断熱補強した
中古住宅のリフォームは、構造上の問題や間取り変更の制約など、さまざまな障害がつきもの。ところが、「制約に縛られるどころか、逆に期待以上のプランになった」とMさんご夫妻。
「新築を考えていた時の一番の希望は、庭に続く大空間のリビング」と奥様。「幸い中古物件には庭や植栽スペースがあったのですが、提案していただいたのは2階リビングで、正直驚きました」。
M邸は、高台の傾斜地に連なる団地のなかでも、上の方に位置する。2階リビングは、その立地を生かして開放的な見晴らしを確保するアイデアだ。
2階の各部屋の間仕切り壁を取り払い、リビング、ダイニング、キッチンが緩やかにつながる1連なりの空間に。「リビングに居ながら、ダイニングの窓から緑の田園や山の風景が楽しめるのがお気に入り」とご主人がいうように、視界に奥行を生み出す設計となっている。
また、大胆にも、ベランダだった場所に外壁を設け、インナーテラスに。コンセプトハウスを模した大窓を設け、アウトドアとのつながりをもたせた。
2階リビングだからこそ実現した開放感と視界の広がり、屋外とのさりげないつながりに、「もし1階リビングだったら、隣家や道路が間近で、こんなくつろぎ感は生まれなかったと思う」とご夫妻。「窓の高さ・配置が絶妙なので、日中カーテンを閉めることはなく、その心地よさを満喫しています」という。
バルコニーも部屋の一部に
こだわりのタイルの質感
黒のキッチンパネルが特徴
洗面台も併せて改造
デザイン、コストのバランスの良い設計
制限のある中で最大限に質感や収納力を改善する
リビング、ダイニング、キッチンはつながりつつも、天井高を変えたり壁色を変えたりと、それぞれのスペースの役割に応じて変化のある空間デザインに。回廊型の動線となっていることも、「家事をするにも便利だし、子どもが楽しんで走り回れるような、私たち世代にぴったりの設計だと感じました」。
ディテールのデザインにもこだわりがいっぱい。
キッチンカウンターは、天板のタイルが、ナチュラルな中にも洗練の雰囲気を漂わせる。「雑誌やネットで、こんな雰囲気にしたいとお願いしたら、想像以上にすてきになりました」と、奥様も笑顔。一見輸入素材のようだが、実は国産メーカー品でデザイン。「私たちの予算に見合ったもの、それでいてセンスのいいものを探し当ててもらって、感謝の一言です」。
奥様がナチュラル志向なら、ご主人はスタイリッシュ志向。ダイニングの壁の一部をダークグレーのアクセントカラーにしたのはご主人のリクエスト。「モダンでシャープな雰囲気が気に入っています」というように、2階の空間全体を引き締めている。
さらに、「デザインだけでなくQOL(Quality Of Life=生活の質)についての、非常に高度な配慮を感じる」とご主人。断熱材を入れ替え、サッシにはすべて内窓を取り付け断熱・気密性能をアップさせた。その性能を保持するために、カーテン・ブラインドもコーディネート。「“住み心地”は、事前の段階で素人ではわかりにくい部分。そのこだわりがあってこそ、いつまでも永く住み続けられるのだと実感しました」。
「新築からリフォームに切り替えて大正解だった!」と喜ぶMさんご夫妻。「今は真新しいムク材が歳月を経て深みのある色に変わってゆくのが楽しみ」「せっかく庭があるので、いずれ家庭菜園にもチャレンジしたい」と、新居に描く新しい夢が絶えない様子だ。
(取材担当ライター:吉田)
レッドシダーの天井板
収納とベンチスペース
クローゼット付の寝室
造作のアイランド収納