水を湛える石積みの家
囲いと解放感を巧みにコントロールし、
落ち着きのある空間をつくる
コンセプトハウスに感激し、徳島から熱烈アプローチ
一際目を引く巨石達は道路からの程よい距離感をつくる
いくつもの巨大な自然石が囲む庭、豊かな植栽が彩るアプローチ――個性的な景観が道行く人の目をとめるY邸は、徳島市内で唯一のきなりの家の施工例だ。
住宅雑誌を見て、「無垢の木がたくさん使われて気持ちよさそう」と気になっていた奥様。「メンテナンスによって味わいが出るのも魅力ですし、庭のある暮らしにもあこがれていました」。
しかし、きなりの家は徳島では施工実績がない。「あきらめるしかないと思いつつ、一度はコンセプトハウスを見ておきたいと訪れたら、改めてその素晴らしさに魅了されました」と振り返る。
奥様いわく、「私も感動しましたが、夫はそれまでどんなモデルハウスを見ても気乗りしなかったのに、明らかにイキイキし始めたんです」。
そんなご主人は、「家に特別なこだわりはなく、どのメーカーも素晴らしいとは思ったけど、これという決め手がありませんでした。ところがきなりのコンセプトハウスは、素材、機能性、モノづくりの考え方まで、こんな家があったのか!と驚くことばかり。もう他では考えられなくなったんです」。
「私たちの熱意に応えてくれて、本当に感謝しています」とお2人。「とにかくメールのやり取りが密で、徳島にいながら細かいところも把握できたので、徳島~岡山の距離のハンディキャップを感じることはありませんでした。もちろん打合せのため数回岡山に出向きましたが、ミニ旅行感覚で楽しい思い出ばかりです」。
「言わなくてもわかってくれる」提案力・アレンジ力
深い軒のあるウッドデッキと石と緑、蹲(つくばい)の水が落ち着きを与える
邸内は、ダイナミックな化粧梁や石貼りの壁など、遊び心にあふれた演出が魅力的。さぞやあれこれと細かいオーダーを出したのだろうと思いきや、「ほしいと思ったものが設計図に盛り込まれていた」とご主人は言う。
「コンセプトハウスの梁や柱を見て、“これいいなあ”と言ったものが、わが家風にアレンジされて設計図になっていたんです。私たちが何を望んでいるのか、言わなくてもわかってくれる――そういう感度の鋭さもきなりならでは」。
例えば、庭には自然石をくりぬいた水鉢を設け、巨大な石積みや豊かな緑と調和した潤いの空間となっている。「コンセプトハウスのビオトープは見ていて飽きなかった。緑と小川が実にナチュラルに配され、自然のままといった印象。まさかわが家では再現できないと思っていましたが、そのエッセンスをわが家ならではの水と緑の空間にアレンジしてくれました」と喜ぶご主人。奥様も「家があって庭があり、庭あってこその家だと実感しています」。
来客用にと設けた和室は、坪庭と雪見障子、皮つきの桜の原木の飾り柱など、伝統的なしつらえをモダンにアレンジ。「エントランスと直結していて印象的な空間ですし、LDKと一体的に使えるのも便利。デザインはコンセプトハウスと違うけれども、根本的な発想をそのまま受け継いで、わが家なりのスタイルが生み出されています」。
石と緑が迎える玄関アプローチ
モダンな空間に合う和室の設え
奥行きのある玄関は和室へ繋がる
蹲(つくばい)はお子様にも人気
深い軒が生み出す、心地よい明るさ
柔らかな光が広がるダイニング、天井現しの梁はウッドデッキまで伸びる
Y邸は一部平屋+一部2階建て。平屋部分は傾斜屋根の天井高を生かした吹き抜けにし、大きく太い無垢材の化粧梁が印象的。北側に採光用の窓を設ける一方、南側は大開口とし、深い軒とウッドデッキを設けている。
「これだけ深い軒なのに、明るさが十分確保されていて驚きました。自然光で過ごすのがこんなに気持ちいいとは」と感心するご主人。奥様も「軒下は家族みんなの憩いの場。子どもたちもお気に入りの遊び場です。そして軒が深いおかげで、敷地外から家のなかの様子は見えず、のびのびすごしています」と、伝統建築の良さを生かした住まいづくりを称賛する。
また、「夫は家の中でもソックスを欠かさなかったのが、この家では冬でも裸足なんですよ」と奥様。LDK床はチークの無垢材。「床暖房を施工しているので、冬でも心地よい無垢材の感触が味わえるんです。実は長期優良住宅仕様にすると、他メーカーでは基礎との関係で、床暖房にするなら無垢材は無理と言われていました。ところが、きなりの家で採用している床暖房は問題なく無垢のフローリングが実現できた。これは大きなポイントでしたね」とご主人は話す。
新しい気づきのある家、そして庭
植栽や家庭菜園によって、暮らしに新しい色が生まれた
「無垢材の気持ちよさ、動線や収納の使い勝手のよさ――入居したその日から、ずっと前から住んでいるような心地よさを感じています」と奥様。「見た目の美しさや機能に満足しているのはもちろんですが、思わぬ喜びは、暮らしぶりが変わったこと」とも言う。
「夫が庭を見て、“花が咲き始めたよ”なんて笑っているんです。そんなの結婚して初めて。先日も私に内緒でこっそりイチゴの苗を植えていたんです」と微笑ましいエピソードが続く。
当のご主人も、「確かにホームセンターのガーデンコーナーを覗くのが楽しみになりましたね。庭だけでなく、家中あちこちに工夫が施され、便利だなあとか、こういう風に使ってはどうだろうとか、たくさん新しい気づきがありますね」と、ご夫婦ともども感性が刺激されているご様子。
特に、「家づくりを通していろんなプロの方が支えてくれていることを改めて知ることができ、いろんな技術に驚かされました」と、家づくりを振り返る奥様。「実は父が大工で、施工を手伝わせていただきました。きなりのような木組みだけで造る家は今時珍しいこと、その精度の高いこと、きなり専属の大工さんたちの技術・知識が高いことに関心していました」。
「これからもきっと、たくさんの新しい気づきがあるでしょうし、何年経っても、愛着が増すことはあっても減ることはない家だと思います」と話すお2人に、心からの喜びが感じられた。
中と外を繋ぐ石積みの壁と大開口
各部屋からアクセスし易い洗面
多目的に使えるスペースも確保
2階にある隠れ家的な書斎