眺望に惚れ込んだ土地をいかして
土地の難しさを解決するアイデアが、理想の家を実現
「子どもが小学校に入学するまでには、家が欲しいと思っていました」と言う、奥様。その計画通り、上のお子様が2歳の頃から、土地探しとハウスメーカー巡りをしていたという。
「1年ほど探しているうちに、この土地に出会って。学区の良さと閑静な環境、そしてなにより、この眺めの良さに惚れ込んで、どうしてもここに住みたい、と思ったんです」北向き斜面に広がる住宅地を登りつめた一角にある、施主様のお宅。隣地には豊かな山の緑が残り、すばらしい眺望もあって、まるで別荘地のような雰囲気だ。「その頃にはハウスメーカーも、きなりの家を含めていくつか見当をつけていました。でもきなりの家以外には、この土地はお勧めしません、と言われてしまって」
実はこの土地は、高台にある宅地造成規制区域だったが、古い分譲地であるためこれ以上の造成が難しい、という事情があった。土地自体に1m以上傾斜があるにも関わらず、ラグビーボール状の敷地であるという条件も、土地の難しさを増していた。
「そんな中で、どうしてもここに住みたいという私たちの想いを汲んで、この土地をいかそうとしてくださったのは、きなりの家だけでした。だから必然的に、きなりの家にお願いすることになったんです」
傾斜をいかした「これしかない」設計
すぐ下の道からも見上げる高さ
その土地の傾斜を、きなりの家は建物の一部を半地下的に設計することで解決した。「この土地ならこうするしかない、これしかないという設計」だったという。
「低くなっている方の部屋は、書斎と寝室になっているんです。明るさよりも落ち着きを重視する部屋を配置して、低さと暗さを利用しているんだそうです。実際に、寝室はとても落ち着けるんですよ」また、南北に対して斜めに向いている土地に、南北軸に合わせた建物を建てることで、南側からの日当たりとプライバシーを確保。「南側が山の斜面で高くなっているので、そのまま土地に沿って建てると、完全に日陰になるんだそうです。南側のお宅が近いので、家の中が丸見えにもなりますし。そういった難しい点を、南方向に向けて建てるというアイデアで解決してくださるのは、さすがだな、と思いましたね」
優しい照明が生活に陰影を
窓の位置を高くして安全に
北向きの眺望を楽しめる大きな窓
眺望を楽しむ北向きの大きな窓
北向きの大きな開口からはご夫妻が惚れ込んだ絶景が
ご夫妻のいちばんのお気に入りは、なんといっても、北向きの眺望を楽しめる大きな窓だ。「ダイニングと吹き抜けで繋がる中のリビング、両方の北側がほぼガラス張りで。いちばん欲しかったこの眺望を、家の中から実現してくれました。リビングに座って外を眺めるたびに、この家を建ててよかったと思います」
実はお風呂場にも、北向きの大きな窓がある。「高いところにある家だから、外からは見えないんですね。だからこそ、お風呂場にこんな大きな窓が作れたんだそうです。毎日が温泉のような気分で、子どもたちも気に入っています」
施主様のお宅を特徴づける家中の大きな窓は、快適さにも役立っているという。「窓を開けると、風がよく通るんです。一年のほとんどの時期を、エアコンなしで過ごせるくらい。自然の力を利用するのはこんなに快適なんだと、住んでみてわかりました」
住んでみてわかった、行き届いた配慮
行き届いた導線と高低差をいかすスキップフロア
住んでみて初めてわかった良さはたくさんあると、奥様は言う。「たとえば、玄関とシューズインクローゼットとの導線のよさ。うちは、玄関から直接シューズインクローゼットに入って、反対側から廊下に抜けられる造りです。だから、外から帰ってきたときの荷物の収納はもちろん、外出の準備もシューズインクローゼット通り抜けながらできるんです。外から帰ってきたとき、家から外出するとき、どちらの方向でも使える。そのことがこんなに便利だとは、使ってみるまでわからないことでした」
また、一階のダイニングと中二階にあるリビングとの距離感も、住んでみてその良さを実感したという。「ダイニングとリビングは、吹き抜けで繋がっています。リビングの吹き抜け側の壁には強化ガラスが使われていて、ダイニングからよく見えるようになっているんです。離れているけど、ゆるやかに繋がっているんですね。これは私たちの希望ではなく、きなりの家のプランだったんですが、実はこの距離感がすごくいいんです。この家で暮らすようになって、テレビを見ながら食事をすることも自然になくなりました。子どもに小言を言ったりしなくても、自然に生活にけじめがついているんです。住んでみて初めてわかったことですが、こうして頂いてよかったと、改めて思います」
解放感あふれるスキップフロア
石の壁は奥様の選んだ色
心が落ち着くほどよい狭さ
光を入れる計算された開口