無垢材と素焼きタイルの心地よい空間
住宅地の一角に佇む
大きな交差点を少し中に入った、街なかの住宅地の一角。絶好のタイミングで出会ったという2区画分の敷地は、生活や通勤に便利で、かつのびのびとした環境で暮らしたいというTさま家族の希望をまさに叶えるものだった。
すぐ東側には大きな公園。建物がなく広々と視界が開けるものの、逆に公園からの視線と喧騒も入ってくる。そのため1階東側は、小さな高窓から朝日の入るプライベートな寝室とし、南西側にメインルームと庭を配置。隣家のある北面にバックヤードを集約するプランとなった。
玄関から廊下を抜けて広がるメインルームは、ご夫婦のイメージ通りの明るい空間。南の窓から北の高窓に向かい、天井の勾配に沿って気持ちよく風が抜けていく。
正面の壁には、素朴な質感をもつkunstのタイルが一面に貼られており、これがこの家のシンボル的な存在に。細い横長のタイルと太い目地の連続模様が、ガラス壁を貫いて外壁まで続いていく。水平方向に伸びるタイルのラインと、垂直方向に立つ構造柱のラインとがのびやかに直交し、すっきりとした心地よい空間を生み出している。
家事も身支度もバックヤードの動線上で完結
ハイサイド窓の採光と勾配天井で明るく開放的なLDK
キッチンは、名実ともに住まいの中心。
「子どもの様子に目が行き届くし、緑の庭も、テレビも見えて、家事の間も快適ですね」と、奥さまはにこやかに話す。
キッチンのすぐ横は洗面室。シンクの横に広くカウンターを伸ばし、奥さま念願の、座って身支度のできるメイクコーナーが作られた。
洗面台の背後には、洗濯機と乾燥機をゆったりと横に並べた、広い脱衣室兼ランドリー。その奥にさらにファミリークローゼットが続く。建築中にも現場で細かな使い勝手を検討し、洗濯物をたたむのに便利なカウンターや、バッグ類を置く棚など、あると便利な機能をしっかりと盛り込んだ。
クローゼットを奥へと進みながら身支度し、出口の扉に取り付けたミラーでコーディネイトをチェック。扉を出るとキッチンの逆サイドに出られ、バックヤードを通ってぐるりと1周できる動線となっている。
玄関ドアを開けると空気が変わる
廊下の手洗いは和調に設え
明るく伸びやかなメインルーム
子供も動きやすい家事動線
住まいの環境が整うと、暮らしも整う
家のあちこちを居心地よく
この動線は、家事がしやすいことだけでなく、思いがけないメリットがあったとか。
「外から帰った後、子どもが自分でバックヤードに入っていって、中で自分で着替えて出てくるようになったんですよ。
以前の家では子どもの身支度などもリビングでするしかなかったので、早く着替えようといくら声をかけても、テレビやおもちゃに気を取られて全然進まなかったんです。今、そのストレスが嘘のように解消されて、やっぱり子育てするにも、生活の環境を整えることは重要なんだなあと思っています」と、奥さまは語る。
玄関からメインルームに進む廊下の途中には手洗い場を設け、帰宅後は自動的にそこで手を洗うルーティンに。
また小上がりの和室を、おもちゃを思い切り出して遊べるスペースと決め、おもちゃの収納場所も和室の中に確保。リビングが散らかりにくく、片付けもサッとできるようになった。
リビング横にはスタディーコーナーを配置。少し奥まっていて落ち着き感があり、奥さまが家で仕事をしたり、資格試験の勉強をしたりするのに重宝しているという。お子さんが大きくなれば、宿題をする場所としてもちょうどいい。
美しく機能的な住まいで、多忙な生活も快適に
家族みんなに優しい表情を持つ和室
ご主人は少しでも早く帰宅してお子さんと関わる時間をつくり、ごはんやお風呂を済ませてから、持ち帰った仕事を片付ける。2階の書斎はそのために設けたもので、壁にはご主人の好きなグリーンのクロスを貼り、カウンターデスクと書棚を四方にたっぷりと造り付けている。「落ち着く空間で気に入っています。集中して仕事ができますね」と、ご主人はほほえむ。
奥さまは、夜ときどき縁側に出て瞑想をするのが、自分を取り戻すための大切な時間だとか。
「塀に囲まれていて外の目が気にならないので、リラックスできますよ。お香を焚いて、ひとりで静かに夜風にあたっていると、心身が整ってくるのを感じます」。
日々の生活は仕事に家庭にと多忙だが、必要なところに必要な空間が備わり、なにをするにも快適に。上質な素材で丁寧につくられた住まいは、この先年月を経るほどに、家族の暮らしにますますしっくりとなじんでいくはずだ。
家族と緩やかにつながる書斎
子供部屋もおしゃれに
清潔感のある素敵なパウダールーム
土と木と石の風合いを愉しむ