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親しみ溢れる歯科クリニック

夫婦で営む歯科クリニック

桧の天井が診察室を優しく包み込む

2016年に新築開業した歯科医院。
建物の広さは比較的ゆとりがあり、中央に受付、北側に3つの診察室、南側はのちのち必要になれば診察台を増設する予定で、これまでは物置きスペースになっていた。
開業から7年経ち、地域の歯科医院として存在はすっかり定着。日々多くの方が来院するようになり、診察室を増やすことも視野に入ってきた。また7年の間に院長の奥さまの担当する矯正歯科部門が加わったり、受付に自動精算機を導入したりといった変化もあり、リニューアルに踏み切ったということだ。
工事を「きなりの家」に依頼することにしたのは、ご夫婦お気に入りの家具店「さしこう」でたまたま話を聞いたことから。家具店が住宅リフォームを手がけていることを知り、相談したところ「医院施設の本格的な改装ならば建築専門の会社のほうがいいのでは」と、ご夫婦の好みのイメージも汲んだうえで「きなりの家」を紹介してくださったという。

より親しみやすい雰囲気にリニューアル

天然木の温かみがある受付カウンターに

リニューアルの内容は大まかに、受付カウンターの改装、診察室2室の増設、カウンセリングルームの移動、キッズコーナーの造作。
工事するにはどうしても一定期間は医院を閉めなくてはならないが、待っている患者さんのために、できるだけ休診期間は短くしたい。ゴールデンウイークを挟んだ2週間に工期を定め、職人のスケジュールを確保した。
院内は全体に、ホワイトを基調としたすっきりとした印象だったが、新しく作る部分にはより優しく自然な、親しみやすいイメージを求めた。
病院の顔受付カウンターは、シックなブラウンから温かみのある天然木にチェンジ。受付から離れた位置に後付けで置かれていた自動釣銭機やデンタルグッズをカウンターへ組み入れ、使いやすくなった。

ユーモアある牛柄の診察台

待合室から覗けるキッズコーナー

オリーブグリーンの塗り壁にダークブラウンの扉が並ぶ診察室への通路

大人も子どももワクワクする楽しい空間

ヒノキの板壁からつながる洞窟風の通路

歯科医院の自動ドアをくぐると、受付から新しい診察スペースにかけて新設された、ヒノキの板壁がやわらかな曲線を描いて迎える。診察室への通路の入り口は、「思わず中に入ってみたくなるような、ワクワクする感じにしたくて」との奥さまの希望で、洞窟風の丸みを帯びた形状に。通路の内部はほのかに暗く、オリーブグリーンの塗り壁にダークブラウンの扉が並ぶ重厚な雰囲気。「ここはちょっと『ハリー・ポッター』っぽい感じでとお願いしたんですよ」と、奥さまは微笑む。
扉を開けて診察室に入ると、イメージは一転して明るくほのぼのとした空間が広がる。
2つの診察室は真ん中の建具を開放するとひとつながりになり、親子や兄弟で一緒に治療を受けることもできる。片側の診察台はかわいらしいウシ柄の子ども専用台で、これがこの空間の小さな主役。ウシ柄を軸にイメージを広げ、壁を若草色にするなど、牧場をテーマにした内装に仕上げた。

大工手づくりの木製キッズスペース

ベテラン大工によって丁寧に仕上げられたキッズスペース

中でもテンションが上がるのは、キッズスペースとなる「木のおうち」。きなりに丸ごとお任せしたものだが、形の楽しさはもちろん、ベテラン大工達が時間の少ない中、丁寧に製作に取り組んでくれたことが印象的という。「『子供が遊ぶところだから』と言って、進んで板1枚1枚の角を丸く面取り、踏み台もしっかりしたものを楽しそうに作ってくださいました」と、設計士は話す。
歯科医院に欠かせないシンク付きの作業台なども、内装に合わせてオリジナルで造作。設計士も歯科医院を手掛けることは初めてだったが、動線や使い勝手についてはご夫婦や歯科設備メーカーと入念に打ち合わせて進めていった。
新しい診察室の運用はこれからだが、閉院期間が明け、診療を再会。「入ってきた患者さんたちがパッと目を輝かせて『わあ、きれいになったね!』『早く新しい部屋に入ってみたい』と言ってくださるのがうれしくて、励みになりますね」と、ご夫婦は表情をほころばせていた。

『じん歯科・まや矯正歯科クリニック』
〒701-0205 岡山市南区妹尾3388 
HPはこちら→https://maya-kyousei.com/

リフォームのきっかけは家具店「さしこう」の木のおもちゃ

自動釣銭機やデンタルグッズをカウンターへ組み入れて使いやすく

建具を開放すると親子一緒に治療できる診察室

天井からの間接照明が木タイルの陰影を引き立たせる