キッチン収納の主役、背面収納
住まいの設計の打合せに多くの時間を割くのがキッチンの収納。 キッチン収納を充実させたい時に話題になるのが「パントリ―収納」ですが、キッチンそのものに最も近く、その周りの雰囲気さえも左右するのは「キッチン背面収納」です。 毎日多忙なキッチン作業の効率を左右し、場のデザインにも影響するキッチン背面収納は、ある意味キッチンそのものに匹敵する大きな役割を担っています。 「キッチン背面収納」の作業効率やデザインを考え出すと、使用される方の好みや体格により、快適で効率の良い収納を実現するには様々な形態やデザインが求められます。 きなりの家では、既成の収納家具を採用することは多くなく、そのほとんどが制作家具により、それぞれのお宅に最適な収納を提案しています。 |
〇オーソドックスな背面収納
最も一般的な形といえるのが左記の上下セパレートな背面収納(左記図面)。 汎用性も高く、実際によく採用されるデザインですが、カウンター上の物の必要高さに配慮しながら、吊戸棚を出来るだけ低く設定することで収納力が大きくできるのが特徴です。 使用の仕方にあわせて、各部位を最適な寸法で設計することが重要なポイント。コストもお手頃に制作できる反面、カウンターの上に家電等をすべて横に並べていく為、細かに片付けていかないと雑多な印象になることがあります。 |
〇家電の使い勝手をアップグレード
一般的な上下の収納に加えて、家電専用の縦長の収納を組み合わせた3ピースの背面収納。 電子レンジ、炊飯器、オーブンなど、それぞれの家電が最適な高さで収納できるのが特徴です。上下収納の間に家電が並ばない為、すっきりとした印象に整理しやすく、カウンターの上を純粋に作業スペースとして利用できるのも利点です。 カウンタースペースも、家電のサイズを気にせずに設計でき、有効な収納力もかなり確保できます。 背面収納としては理に適った形態ですが、シンプルな上下収納よりも家具が複雑になることでコストが高くつくことが難点でしょうか。 |
〇急な来客にも対応し得る背面収納
普段はキッチン家電を最適な高さで使える便利な収納が、簡単に隠せてしまう収納もあります。 キッチン家電や小物は使用頻度も多く、日常的には出しっぱなしで私用したいもの。よく使う物の周りには、こまごました道具や材料が集まり、どうしても煩雑になりがちです。 また、家具やインテリアにこだわって選んでも、キッチン周りの細かな家電まで選び抜くのは至難の業。機能重視でそろえていくことになります。 しかし、いったんこの収納の扉を閉じてしまえば、生活感が垣間見える家電や小物が一瞬でなかったことに出来ます。 |
〇全部を一気に隠す収納
冷蔵庫を含め、日常的に使用するものをすべて隠してしまいたい方に採用頂いているのがこの形。 大きな建具ですべてを隠してしまうこの収納は、キッチンの使用の仕方やデザインの好みが分かれる収納方法ですが、一定の割合で長年にわたり採用され続けるデザインです。 大きな引き戸で構成される為、キッチン周りにどこか扉が集まり、一連のキッチン作業で使用できない収納が生じることになります。 ゆとりある大きな規模のキッチンに採用されるデザインです。 |
〇背面収納の進化系
冷蔵庫を含めた家電やごみスペース、神棚までをすべて取り込んで、凹凸の無いお部屋の壁面のようにデザインしました。 家電の収納を閉じてしまえば、お部屋の壁の一部に溶け込みます。製作の収納の利点を十二分に活かした、機能的な背面収納です。 深い色合いの突板の仕上げは、落ち着いた印象にお部屋を演出してくれます。 |
回は、様々なキッチン背面収納のデザインを紹介させて頂きました。
上記以外のデザインもたくさんの実績があります。ご興味のある方はご相談ください。
設計担当 田中