年末年始は冬とは思えない程暖かな年越しとなりました。
中国地方のスキー場はほとんど営業出来ない状況だそうです。
今シーズンは一度も「雪」を見ずに春を迎えそうな予感がしております。
さて、今回の岡山建築深訪は「奈義町現代美術館」をご紹介させて頂きます。
バックに那岐山を望む立地で、建物配置は那岐山を借景として取り入れる配置だと読み取れます。
巨大な堤太鼓のような外観がとても印象的ですね。
この美術館は通称Nagi MOCA(ナギ・モカ)と呼ばれ、世界的にも有名な建築家「磯崎新(いそざきあらた)氏」により設計された美術館です。
(Nagi MOCA=Nagi Museum Of Contemporary Art)
建築家・磯崎新氏のプロデュースのもと、荒川修作氏+マドリン・ギンズ氏、岡崎和郎氏、宮脇愛子氏らアーティストが集い、普段では展示に収まらないようなものを”建築”と共に作品にするというテーマでプロジェクトが進められ、観た人の全身で体感してもらう新しい美術館在り方を提案した作品となっています。
美術館は、太陽、月、大地と名付けられた3つの展示室から構成され、「太陽」の軸は南北軸、「月」の平坦な壁は中秋の名月の午後10時の方向を指し「大地」の中心軸は、秀峰那岐山の山頂に向かっています。
外的要素を建物配置に取り入れ建物形態や展示室と関連付けることで、より大きなスケールを建築自身に内包させようと試みているのがわかります。
展示室は作品が内部から外部へ繋がって展示していたり、「空間を体感で触れる」作品だと認識させられます。
ここは「展示室 大地」。
(左)「展示室 月」と(右)「展示室 太陽前室」です。
「展示室 月」は、「あれ、、声が、、遅れて、、聞こえてくるよ」みたいに、音が1拍遅れて反響してくるのが面白かったです。独特の空間で、中に居続けると不思議な感覚に捕らわれるような体験が出来ました。
「展示室 太陽前室」は内部がどうなっているかは是非訪れて体感してみて下さい。
「展示室 太陽」
ここが堤太鼓のようみ見えていた内部です。
本当に不思議な空間でした。
平らな床がなく、枯山水やベンチ、シーソー等が対象的に円筒の中に納められています。
まるでシュールレアリスムの世界へ飛び込んだような特異な感覚に襲われます。
ベンチも湾曲してます。
是非一度このベンチに座ってこの作品を体感して欲しいところです。
この体験自体も含めてこの美術館のアートであり、表現したかったことなのだろうと思います。
個人的にはこの「壁と床の納まり」が気になりました。
住宅で言うと「幅木」がくるところですね。
壁の浮遊感と影のラインが印象的でした。
その他、一般展示場や図書館もありとても楽しめる施設でした。
たまにはこういった普段は体験出来ないような「芸術」に触れてみるのも良いですね。
感覚が豊かになり、違った視点で物事を見るきっかけになりそうです。
体感するアートで有名なところとしては、岐阜県の「養老天命反転地」もオススメです。
投稿者 営業・設計 石田