残暑を飛び越して涼やかな風が吹き始めた9月の初め、
住宅省エネルギー設計技術講習会を受講して参りました。
写真は開催場所の「岡山県森林組合連合会津山支所」です。
棟内は木造の軸組みをそのまま見せる造りで、それを見るだけでも勉強になりました。
今回は平成11年に告示された「住宅の省エネルギー基準」(通称:次世代省エネ基準)をベースに、
新たに改正される「平成25年改正省エネルギー基準」(10月1日施行)についての講習です。
今回の改正についてのポイントは大きく3つ。
① 一次エネルギー消費量
② 不公平のない断熱基準
③ 都市の低炭素化
大まかな内容は以下の通りです。
(対象としているものは「住宅」についてです)
① 「一次エネルギー消費量」について
今までは建物の断熱性能のみを評価していましたが、
今回から設備機器(空調や給湯、太陽光発電なども)の省エネ効果も評価して行きます。
いくら家の断熱を良くしていても、設備機器の消費エネルギーが大きいと省エネ住宅とは言えませんよね。
② 不公平のない断熱基準について
これまでの断熱性能の評価はQ値やμ値といった値で評価していました。
ですが、これらは床面積を元にして算出される数値です。
同じ床面積でも真四角な建物と歪な建物では、外気に晒される建物の表面積は変ります。
そこで今回の改正では、「外皮平均熱貫流率」という、
外部の表面積を元にした値(UA)を基準とする事になりました。
これで実際の建物形状に基づいた、公平な断熱性能の評価が出来るようになりました。
① 都市の低炭素化について
現在住宅の省エネ基準は「努力目標」とされていますが、2020年には「義務化」が予定されております。
住宅の省エネ化が向かう先には、最終的に建設から廃棄までのエネルギー消費量をマイナスにする、LCCM(ライフサイクル・カーボン・マイナス)住宅を見据えているとの事です。
消費するエネルギーを抑え(省エネ)、太陽光発電等でエネルギーを創る(創エネ)ことで、
建物のエネルギー消費量を”マイナス”にする、そんな住宅が求められています。
(写真は同じ敷地内にある材木置き場、これから加工されるのでしょうか)
講習は朝から夕方まであり、最後は考査を行い合格者は終了証が授与されます。
(考査は無事、満点で合格致しました)
実は、この講習を受ける以前から今回の改正案については調べており、
現在担当させて頂いている物件についても、改正基準を達成出来得る設計を検討・確認しておりました。
今回の講習でその理解がより深まったと思います。
断熱や気密については製品や施工方法も含め、引き続き勉強して行きたいと思っております。
投稿者:石田