自然とモダンに暮らす家。「き」なりの家

見目の美しさに、風景と暮らしが引き立つ
家族が自然と憩う、大らかな心地よさ

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田園風景の大らかな家

設計:杉本洋

現代の暮らしに溶け合う、生家の記憶

片側3車線の国道を逸れてそのまま車を走らせること1分足らず。新旧の家々が立ち並ぶ先に広がるのびやかな田園には、夏の終わりのまだまだ豊かな陽光を浴びながら、稲がゆっくりと身を着けはじめている。美しい緑のじゅうたんに囲まれたその一角に、目指す家はあった。

ご主人が家づくりを考えはじめたのはもうずいぶん前のこと。しかし、結婚とほぼ同時に転勤が決まり、新婚生活を赴任先の広島で送ることに。ようやく地元に戻ったのは、それから4年以上の月日が経ってからのことだ。

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田園の景色を中心に空間設計

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そんな数年越しの夢をかなえるパートナーに「『き』なりの家」を選んだのは、奥さまの親戚がここの職人であったことも無関係ではない。けれど、「妻も私も木の家に親しみながら育った。もし家族のつながりがなかったとしても、きっと結論は同じだったと思いますね」。
農家の長男として育ったご主人の生家は、昔ながらの木造平屋建て。木造の長所も短所も、身をもって体験してきた。日本家屋ならではのくつろぎや心地よさを生かしながら自然光をたっぷり取り込む明るい家に――。設計の参考になればと自らおこしたスケッチの中に、長年あたためてきた想いを込めた。

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キッチンからも緑を

 

 

 

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絶好の立地を生かした大開口の開放感

 

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中でもLDKの吹き抜けは、ご主人がどうしてもかなえたかった憧れの一つ。周囲に広がる美しい風景に溶け込むような開放感を、家の中にも取り入れたかったからだ。窓はできるだけ大きく、仕切りを取り払えば田んぼからウッドデッキ、LDK、そして奥の和室まで緩やかにつながり合うワンフロアのような間取り。部屋数を抑える代わりに面積をぜいたくに使っているので、近隣に住む親戚たちが集まってものびのびとくつろげる空間になっている。一方で、隣家とはいえ齢を重ねた両親ふたりと別居するのも心許なく、室内でもっともプライベートな空間となる和室奥の一室を、両親のためのスペースに充てた。

 
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高窓は光を導き、風の流れを設計

LDKには、庭とその先の田園に向かって大きく広げた開口と吹き抜けからあふれんばかりの陽光が差し込むものの、巧みな風向計算によって心地よい風が流れ込み、残暑厳しいころもエアコンなど不要なほど涼しく感じられる。
これは、ダイニング直上に配した2階寝室も同様で、「ここで寝起きするようになってから、朝日に目覚める心地よさを知った」とうれしそうに笑みをこぼすご主人。

開放感を保ちながらも寝室ならではのくつろぎが守られているのは、片流れ屋根の勾配天井を反面のみ板張りにして、寝具周りの天井を一段低く抑えているから。板張り天井に設置した間接照明をつければ、極上のセカンドリビングとして就寝前のひとときを過ごすこともできそうだ。

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上質の上にこそ紡がれる、家族の未来

柔軟な空間づくりを実現するだけではなく、用いる素材によってその表情をさまざまに楽しめるのも、木の家の大きな魅力だろう。
滑らかでしっとりとした感触が心地よいオークの床に、重厚感のあるタモの無垢板をセレクトした階段の格子や踏板。親戚から譲り受けた一枚板をアレンジした、和室の飾り棚やキッチン正面のカウンターテーブルなど。ヴィンテージ加工が施されたアイアンの階段手すりも、上質な木材の中ではその風合いをよりいっそう美しく際立てられている。

まだ暮らし始めたばかりの真新しい家。しかしここには、時を経ながらその味わいを増していく木のぬくもりと、先祖代々受け継がれ、そしてこれから何十年先まで紡がれ続けるであろう家族の絆が、既に深く深くしみついているように思える。

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石の表情が印象的

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伝統的な和室

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吹き抜け上部の開口

 

 

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